夢かげろう
 校庭で無邪気にはしゃぐ友は春 
 ノートを一枚ビリリと破いて 
   窓から飛ばす 紙飛行機 
 大空にクルリと小さな輪を描いて 
   タンポポの花壇にフワリ軟着陸 
 故郷の山河 師の顔 乙女の君よ
 残しておきたい想い出は 
 少年時代の夢かげろう

 季節の節目に降る雨メランコリー 
 黒髪の君はスカートひるがえし 
   駆けて行く先 友の輪の中 
 僕にハイネの詩集を渡した後で 
   初恋に揺れる想いの風が吹く 
 青い恋 香りは甘く もどかしくもあり
 忘れてしまおう口びるを 
 今はなつかし夢かげろう

 ルールとマナーの間で走る高速道路 
 右に曲がろかそれとも左に折れようか 
   迷うばかりのウインカー 
 過去と未来の間で漂う人生は 
   渋滞の車の列にイライラさまよう 
 心の隅には せめてのロマンと やさしさを
 流されないのは若さゆえ 
 人生時には夢かげろう

 通勤の満員電車はムンムン人いきれ 
 重いカバンを何度も何度も持ちかえて 
   フラフラ昇る 駅の階段 
 ゆうべの酒がぬけきれぬまま 
   青息吐息の朝は吊り革にしがみつく 
 都会の景色は 四季無く 無感情
 捨ててしまおう生きざまは 
 サラリーマンの夢かげろう