秋の風
   稲穂がたれて 
   乾いた景色に案山子が浮かぶ 
     黄金の平野の守人 
   野らの男はあぜ道に集い
     今年はどうだ 昨年はどうだと 
        会話の中身は変わらないけど 
   タバコを一服 秋の風

   稲穂にかくれ 
   たわむれはねてバッタが泳ぐ 
     黄金の海の潜水夫 
   軽四輪に家族を乗せて
     ネコの手刈って 孫の手借りて 
         昔も今も変わらないけど 
   仕事に汗する 秋の風

   戦車が風景をはがしても 
   潜水艦が水面に浮かんでも 
     平和が壊れるはずもなく 
     収穫の祭りは必ずやってくる
1993年10月8日:朝日新聞名古屋版<詩壇>にて紹介される